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子ども(幼児)の偏食の原因【食べない理由と治し方】

2021年5月16日

 

【偏食】

好き嫌いが激しく、特定の食品だけを食べること。

出典 小学館デジタル大辞泉

 

「子どもの偏食がひどい」「子どもの偏食に疲れた」など。

幼児期、食に関する悩みは多いものです。

 

・子どもの偏食がひどい

・子どもの偏食に疲れた

・子どもが偏食で食べられる物が少ない。

・頑張って作った料理を食べてくれない。

・どうして食べてくれないのか?

・お菓子ならたくさん食べるのに。。。

 

こんな悩みをおもちのあなたへ。

 

幼児期には。「食べない」ではなく、「食べられない」明確な原因があります。

 

だから、親がどんなに頑張って作った食事でも、子どもは食べられません。

 

食べられない原因が分かれば、気持ちが少しラクになり、対応もしやすくなります。

本記事では、多くの偏食相談を受けてきた現役の発達相談員の僕が。

原因として知って欲しい「3つのこと」と、治し方(対策方法)を解説します。

 

【僕の簡単なプロフィール】

保育者として20年。その後、地域の発達相談員と幼稚園・保育園巡回の経験が15年ほどあり。

毎日受けている相談の中では「偏食」が一番多いです。

地域の管理栄養士さん、調理員さん、保健師さん、研究者とも勉強を重ねてきました。

所持資格:公認心理師(国家資格)、幼稚園教諭、小学校教諭など

詳しいプロフィールはこちら

 

 

1.子ども(幼児)の偏食原因・理由【知って欲しい3つのこと】

 

 

① 子どもの偏食は、親の責任ではない

② 酸味・苦味は、「腐敗や毒」として認識する

③ 幼児期は、舌の「味センサー」が敏感過ぎる

 

それぞれ、解説します。

 

 

①子どもの偏食は、親のせいではない

 

初めにこのツイートをご覧下さい。

インスタ25万人フォロワーの料理家。
「長女は何でも食べるが、次女は幼児期はチョコとポテトフライばかり食べ、おかずを用意してもペッと吐き出していた」という話。人気料理家でもこういう状況。
つまり、食べないのは親の調理の問題ではない。子供側の都合。
あきらめず、成長を待ってあげるで。

 

人気料理家が作った物も、食べない子は食べません。

 

「あなたの調理の仕方が、子どもの偏食の原因ではありません」

 

このことを、まず初めに知ってください。

 

 

②酸味・苦味は、「腐敗や毒」として認識する

 

味覚には食べ物の味を弁別し。

生体に「危険なもの」や「必要なもの」を選択し、摂取することを助ける働きがあります。

 

五つの基本味

甘味 ごはん、パン、麺などに含まれる炭水化物 エネルギー源
塩味 塩など ミネラル
うま味 肉や魚などに含まれるアミノ酸 たんぱく質
酸味 腐敗物の存在を教える役割
苦味 毒物を教える役割

 

酸味・苦味は、「腐敗や毒」と認識し、さける味

酸味・苦味は、「腐敗・毒」として認識する味であり。

命を守るために、「さけるべきもの」として生まれつき身体に組み込まれている味です。

 

ですので、幼児期は『野菜嫌い』が多いのです。

 

この幼児期の『野菜嫌い』は、酸味・苦味をさける行為であり。

生命維持のために組み込まれた味のセンサーが正しく働いている証拠と言えます。

いわば、正常な味覚の発達なのです。

 

甘味・塩味・うま味は生命維持に必要な味

一方、甘味・塩見・うま味は、「生きていくために最低限、体にとって必要な食べ物」として認識する味であり。

命を維持するために、「おいしいもの」として生まれつき身体に組み込まれている味です。

 

ですので、お菓子なら食べるのです。

 

母乳にもこの3つの味が含まれております。

 

生活習慣病

ちなみに、生活習慣病として糖尿病や高血圧が多いのは。

 

甘味の取りすぎ→ 糖尿病

塩味の取りすぎ→ 高血圧

 

甘味・塩味は人が生まれながらに「美味しい味」として身体に組み込まれているため。

その食欲のコントロールがむずしいための、必然の結果だと思います。

 

 

③幼児期は、舌の「味センサー」が敏感過ぎる

 

味蕾(みらい)

舌にある「味を感じるセンサー」とは、味蕾のこと。

 

【味蕾(みらい)】

脊椎動物の味覚器。主に粘膜の乳頭に分布する、花の蕾(つぼみ)状の器官。頂部の小孔から味の刺激を受け、味覚神経に伝える。味覚芽

出典 小学館デジタル大辞泉

 

 

この味センサーは、子ども時代に最も多く、加齢と共に減っていく特徴があります。

 

つまり、子どもの方が味に敏感で。

酸味・苦味や苦手な味を、より強烈に感じるようにできています。

 

だから、幼児期には野菜嫌いが多いのです。

 

 

 

 

「味蕾(舌の味センサー)」は、まだ自分で食べ物を選べない乳幼児期に。

 

毒・腐敗物を敏感に察知し、命を守るための重要な機能なのです。

 

そして、年齢が上がり、自分で食べられるものを判断できるようになると。

「味蕾(舌の味センサー)」の数は減り、苦手な味も食べやすくなってきます。

 

 

こちらのツイートもご覧ください。

 

幼児期の味覚は大人とは違い、成長中であり。

小学校高学年くらいに完成するということです。

 

 

2.まとめ:子ども(幼児)の偏食の原因と治し方(対策方法)

 

 

偏食は幼児期がピークであり。

その後「味蕾の数が減り」「食の経験が広がるにつれ」食べられる物は徐々に増え。

小学校高学年くらいで味覚が完成します。

 

いま食べられないのは。

腐敗物や毒から命を守る機能が「正常に働いている証拠」であります。

 

ですので。焦らずに、あきらめずに。

 

食べられる物が少ない時のポイント

『①いま食べられる物でしのぎながら ②食の経験を広げ ③味覚の成長をまつ』(2021.ひだゆう)が大切です。

 

 

>>偏食の治し方(対策方法)は、こちらをご覧ください

 

>>偏食は親のせいではありません

 

▶スプーン・箸の使用については、こちらの方法を試してください

 

 

講談社Webメディア掲載記事『幼児に偏食はない』

 

>>神奈川県立こども医療センター  偏食外来パンフレット(神奈川県小児保健協会)

 

【参考】赤ちゃんの食事は、こちらがおススメのようです

相川晴 著 川口由美子 監修 彩図社

 

 

【参考文献】

・山本 隆(1999)「おいしさの脳科学」大阪大学大学院人間科学研究科行動生態学講座

・河村洋二郎編:うま味ー味覚と食行動ー共立出版,1993.

・山野喜正,山口静子編:おいしさの科学 朝倉書店,1994.

・山本 隆:脳と味覚ーおいしく味わう脳のしくみー共立出版,1996.

・佐藤昌康,小川 尚編:最新味覚の科学 朝倉書店,1997.

・西村実穂,水野智美編:気になる子の偏食チャイルド本社,2014.

 

 

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