「子どもの偏食がひどい」「子どもの偏食は、なぜ?」など。
幼児期、食に関する悩みは多いものです。
・子どもの偏食がひどい
・子どもの偏食は、なぜ?
・子どもの偏食は、いつまで?
・子どもの偏食に疲れた
・子どもが偏食で食べられる物が少ない
・頑張って作った料理を食べてくれない
・お菓子ならたくさん食べるのに。。。
こんな悩みをおもちのあなたへ。
子供の偏食は親のせいではありません。
子供の偏食は親の甘やかしでもありません。
幼児期には、「食べない」ではなく。
「食べられない」明確な偏食の原因があります。
だから、親がどんなに頑張って作った食事でも、子どもは食べられません。
子供の偏食の原因が分かれば、気持ちが少しラクになり、対策もしやすくなります。
本記事では、多くの偏食相談を受けてきた現役の発達相談員の僕が。
子供の偏食の原因として知って欲しいことと。
子供の偏食の治し方・対策を解説します。
【僕の簡単なプロフィール】
保育者として20年。その後、地域の発達相談員と幼稚園・保育園巡回の経験が15年ほどあり。
毎日受けている相談の中では「偏食」が一番多いです。
地域の管理栄養士さん、調理員さん、保健師さん、研究者とも勉強を重ねてきました。
所持資格:公認心理師(国家資格)、幼稚園教諭、小学校教諭など
記事の内容
1.子ども(幼児)の偏食の原因
はじめに:子どもの偏食は、親のせいではない
はじめに、このツイートをご覧下さい。
インスタ25万人フォロワーの料理家。
「長女は何でも食べるが、次女は幼児期はチョコとポテトフライばかり食べ、おかずを用意してもペッと吐き出していた」という話。人気料理家でもこういう状況。
つまり、食べないのは親の調理の問題ではない。子供側の都合。
あきらめず、成長を待ってあげるで。— ひだ ゆう心理相談員(発達) (@Zteacher2017) April 16, 2021
インスタ25万人フォロワーの料理家。
「長女は何でも食べるが、次女は幼児期はチョコとポテトフライばかり食べ、おかずを用意してもペッと吐き出していた」という話。人気料理家でもこういう状況。
つまり、食べないのは親の調理の問題ではない。子供側の都合。
あきらめず、成長を待ってあげるで。
人気料理家が作った物も、食べない子は食べません。
「あなたの調理の仕方が、子どもの偏食の原因ではありません」
子供の偏食は親のせいではなく。
子供の偏食は親が甘やかしている訳でもありません。
このことを、まず初めに知ってください。
①子どもは、食の経験が圧倒的に少ない
おいしさは、「食の経験」の中で育ちます。
例えば。
日本人とアメリカ人では食の好みは違うし。
同じ日本人でも、北海道の人と沖縄の人では好みは違いますよね。
沖縄では「沖縄そば」のお店が多いですが、北海道にはそれほど多くはありません。
つまり。
生まれながらに『長く食べ続けていること(食の経験)』が、好き嫌いに影響します。
幼児は、人として生まれ、まだ『わずか数年』です。
地域の中で育ち、その食べ物を食べる経験が増える中で。
食のおいしさを徐々に感じられるようになります。
おいしく食べられるためには。
食の経験(ある程度の年月)が必要なのです。
②酸味・苦味は、「腐敗や毒」として認識する
味覚には食べ物の味を弁別し。
生体に「危険なもの」や「必要なもの」を選択し、
摂取することを助ける働きがあります。
五つの基本味
甘味 | ごはん、パン、麺などに含まれる炭水化物 エネルギー源 |
塩味 | 塩など ミネラル |
うま味 | 肉や魚などに含まれるアミノ酸 たんぱく質 |
酸味 | 腐敗物の存在を教える役割 |
苦味 | 毒物を教える役割 |
酸味・苦味は、「腐敗や毒」と認識し、さける味
酸味・苦味は、「腐敗・毒」として認識する味であり。
命を守るために、「さけるべきもの」として生まれつき身体に組み込まれている味です。
ですので、幼児期は『野菜嫌い』が多いのです。
この幼児期の『野菜嫌い』は、酸味・苦味をさける行為であり。
生命維持のために組み込まれた味のセンサーが正しく働いている証拠と言えます。
いわば、正常な味覚の発達なのです。
甘味・塩味・うま味は生命維持に必要な味
一方、甘味・塩見・うま味は、「生きていくために最低限、体にとって必要な食べ物」として認識する味であり。
命を維持するために、「おいしいもの」として生まれつき身体に組み込まれている味です。
ですので、お菓子なら食べるのです。
母乳にもこの3つの味が含まれております。
生活習慣病
ちなみに、生活習慣病として糖尿病や高血圧が多いのは。
甘味の取りすぎ→ 糖尿病
塩味の取りすぎ→ 高血圧
甘味・塩味は人が生まれながらに「美味しい味」として身体に組み込まれているため。
その食欲のコントロールがむずしいための、必然の結果だと思います。
ちなみに、『辛味』は厳密には味ではなく。
痛覚や温度覚で感じ取る味なので、基本味とは別とされています。
③幼児期は、舌の「味センサー」が敏感過ぎる
味蕾(みらい)
舌にある「味を感じるセンサー」とは、味蕾のこと。
【味蕾(みらい)】
脊椎動物の味覚器。主に舌の粘膜の乳頭に分布する、花の蕾(つぼみ)状の器官。頂部の小孔から味の刺激を受け、味覚神経に伝える。味覚芽。
出典 小学館デジタル大辞泉
この味センサーは、子ども時代に最も多く、加齢と共に減っていく特徴があります。
つまり、子どもの方が味に敏感で。
酸味・苦味や苦手な味を、より強烈に感じるようにできています。
だから、幼児期には野菜嫌いが多いのです。
「味蕾(舌の味センサー)」は、
まだ自分で食べ物を選べない乳幼児期に、
毒・腐敗物を敏感に察知し、命を守るための重要な機能なのです。
そして、年齢が上がり、自分で食べられるものを判断できるようになると。
「味蕾(舌の味センサー)」の数は減り、苦手な味も食べやすくなってきます。
こちらのツイートもご覧ください。
管理栄養士から、
「味覚が完成してくるのは小学校高学年くらい」
と聞いた。
そして、
「幼児期は、まだ味覚が成長段階なので「偏食」とは言わない」そう。つまり、
『これから少しずつ食べられる物が増えますよ!』
ということ。
『なので、あきらめないで!』
ということ。— ひだ ゆう心理相談員(発達) (@Zteacher2017) May 15, 2021
幼児期の味覚は大人とは違い、成長中であり。
小学校高学年くらいに完成するということです。
2.子ども(幼児)の偏食の治し方と対策
偏食は幼児期がピークであり。
その後「味蕾の数が減り」「食の経験が広がるにつれ」食べられる物は徐々に増え。
小学校高学年くらいで味覚が完成します。
いま食べられないのは。
腐敗物や毒から命を守る機能が「正常に働いている証拠」でもあります。
ですので。焦らずに、あきらめずに。
子どもの偏食の治し方と対策
『①いま食べられる物でしのぎながら ②食の経験を広げ ③味覚の成長をまつ』(2021.ひだゆう)が大切です。
3.補足:偏食対策の具体例
偏食対策の具体例を多くの方が教えてくださいました。
返信欄を是非お読みください。
【子供の偏食で悩んだけど、今は徐々に食べられるようになった】
という方。
『どんな状況だったか』、それが『いつ頃から食べられるようになったか』をリプ欄で教えていただけませんか。『食べられるきっかけ』があったらそれもお願いします。
あくまで、「うちの子の場合は」で結構です。— ひだ ゆう🍰発達相談員【トイトレ•偏食】 (@Zteacher2017) February 11, 2024
▶こちらの記事もご覧ください。
講談社Webメディア掲載記事『幼児に偏食はない』
>>神奈川県立こども医療センター 偏食外来パンフレット(神奈川県小児保健協会)
【参考】赤ちゃんの食事は、こちらがおススメのようです
相川晴 著 川口由美子 監修 彩図社
【参考文献】
・山本 隆(1999)「おいしさの脳科学」大阪大学大学院人間科学研究科行動生態学講座
・河村洋二郎編:うま味ー味覚と食行動ー共立出版,1993.
・山野喜正,山口静子編:おいしさの科学 朝倉書店,1994.
・山本 隆:脳と味覚ーおいしく味わう脳のしくみー共立出版,1996.
・佐藤昌康,小川 尚編:最新味覚の科学 朝倉書店,1997.
・西村実穂,水野智美編:気になる子の偏食チャイルド本社,2014.
▶トイレトレーニングは、こちらをご覧ください。