子どもが産まれたら、だれもが取り組むトイレトレーニング。
「何をどのように取り組めば良いのか?」
とても大切なことなのに、実はあまり知る機会がありません。
本記事は。
現役の発達相談員で、多くのトイレトレーニングの相談を受けてきた僕が。
少しでも「簡単に」「ラクに」トイレトレーニングを進められる方法を具体的に解説します。
【僕の簡単なプロフィール】
保育者として20年。その後、地域の発達相談員と幼稚園・保育園巡回の経験が15年ほどあり。
大学院では保育や教育の心理学(学校心理学)を専攻していました。
トイレトレーニングの相談は特に多く受け。試行錯誤を繰り返し有効な指導ポイントを見つけましたので、是非多くの方に知ってほしく、本記事を公開しました。
所持資格:公認心理師(国家資格)、幼稚園教諭、小学校教諭など
記事の内容
はじめに:トイレトレーニングのやり方
トイレ・トレーニングとは、「訓練」ではありません。
ムリにトイレでの排泄を強制するものではありません。
おむつ排泄から、トイレ排泄へ。
「時間をかけて」「徐々に」、排泄の仕方に「慣れさせること」です。
「慣れる」ためには、なにごとも「時間」がかかります。
トイレトレーニングは。
「時間をかけてあげること」「徐々に少しずつ」がなによりも重要です。
このことを、まずはじめに十分ご理解ください。
1.トイレトレーニングという言葉
この記事では、皆さんと情報共有しやすいように「トイレトレーニング」という言葉を使いますが。
普段の発達相談では、僕はこの言葉は使いません。
家庭用トイレでの排泄だけがゴールのように思えたり、訓練をイメージさせたりするからです。
普段は「排泄自立」という言葉を使っています。
2.排泄自立の定義
僕は以下と考えます。
【排泄自立の定義】(2022. ひだ ゆう)
①おしっこやうんちを、身体の中に少しの時間ためて
②オムツを外した状態で
③”決まった場所で”排泄する。
このような状態に「成長し・慣れること」が、「排泄が自立した」ということです。
「成長し・慣れる」ためには「時間をかけてあげる」ことが必要です。
注意していただきたいのは。③は「決まった場所」ですから、トイレに限りません。
▶おまるでもいいのです。
▶くわしくはこちら
3.トイレトレーニングで難しいのは2つ
トイレトレーニングで難しいのは2つ
①おむつを外した状態で排泄する
②「トイレ空間に入る・便座に座る」を抵抗なくできる
この2つに”慣れさせる”のがトイレトレーニングです。
子どもに合わせて「時間をかけ」「その方法を考え」「できるだけ無理なく進めること」です。
訓練ではありません。
難しい理由
①おむつを外した状態で排泄する
【トイトレ】
オムツを外した排泄が難しい理由①長期間の習慣を変えるのは時間が必要
②オムツの密着感・圧迫感は安心できる
①→幼児は生後からずっとオムツ排泄。長い習慣を変えるのは何事も時間が必要
②→好きな人に抱きしめられると安心するのは圧迫刺激があるから。オムツの圧迫感がないと不安— ひだ ゆう🍰発達相談員(幼児) (@Zteacher2017) March 4, 2023
②「トイレ空間に入る・便座に座る」を抵抗なくできる
特に家庭のトイレは、完全に大人用に設計され。
子どもには不向きな場所です。
狭い・薄暗い・便器や便座が大人サイズなどの理由です。
大人でも。
あまり管理されていない、薄暗い公衆トイレに抵抗がある場合がありますよね。
子どもも、そんな気持ちなのかもしれません。
▶詳しくは、こちら
4.トイレトレーニングは、いつから?
上記「①おむつを外した状態で排泄する②トイレ空間に入る・便座に座る」に少し慣れていれば。
本格的なトイレトレーニングが始まってもスムーズです。
トイレトレーニングは「2歳の夏から」と、よく言われますが。
①②共に。余裕があるときには2歳前からでも少しずつ経験できることです。
①②を”少し”経験していたら。「2歳の夏」からスムーズに進みます。
全く経験がなく、不安感が強い子の場合。少し時間をかけてあげた方がいい場合があります。
▶くわしくはこちら
5.トイレトレーニングの進め方
繰り返しますが。トイレトレーニングでむずかしいのは以下2つです。
①おむつを外した状態で排泄する
②「トイレ空間に入る・便座に座る」を抵抗なくできる
2歳の夏に。いきなり「おむつを外して」、「トイレに座らせようとしても」うまくいきません。
▶余裕のあるときには、たまにおむつを外しての排泄を経験させてください。
(おむつに慣れきっていない早い段階がやりやすく。場所はトイレでなくてもどこでもいいです)
▶嫌がらなければトイレに入り、幼児用便座に座ることを遊び感覚で経験させてください。
(排泄なし、着衣のまま座るだけでかまいません。居間のおまるに座るでもいいです)
「2歳の夏」以降から初めてトレーニングを始めた方、現在トレーニング中の方も。
何歳から始めても、やり方は同じです。
まず、この2つから無理のないように進めて下さい。
トレーニング中で、今苦戦している方は。もう一度、この2つを無理なくできるようにしてください。
このツイートもどうぞ
初めは、おしっこからです。「うんちはオムツがいい」子にはオムツでさせて下さい。うんちは時間をかけてあげた方がいいです。ムリに進めるより、オムツで快便状態の方が、トイレに移行しやすいです。
②はトイレ空間を嫌がるなら、オマルでかまいません。オマルからトイレの移行は難しくありません。— ひだ ゆう🍰発達相談員(幼児) (@Zteacher2017) May 5, 2022
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トイレ(オマル)でおしっこできるようになっても。おしっこしたそうな表情・動作や時間の間隔を見て、大人がトイレ(オマル)に連れて行ってください。
「おしっこしたい」「おしっこでる」と事前に言えるには、もう少し時間がかかります。— ひだ ゆう🍰発達相談員(幼児) (@Zteacher2017) May 5, 2022
6.「日中のおしっこ自立」が最初の目標
日中のおしっこ自立が最初の目標
排泄は。以下の順番で自立し、それぞれ別物です。
①おしっこ
↓
②うんち
↓
③夜のおねしょ
ですので。最初の目標は「日中のおしっこ自立」です。
おしっこは一番頻度が多く、自分でできるようになると親子共に便利であり。
うんちよりも難易度が低いので取り組みやすいです。
これができると。排泄自立は、全体の8割完成と僕は考えます。
おねしょのトレーニングは必要ない
夜のおねしょは、寝ているので本人は頑張れません。
トレーニングではなく、「身体の成長を待つ」ことが必要です。
6.トレーニングがうまく進まない場合
いろいろやってみても。
トレーニングがうまく進まず、親子ともに煮詰まってしまう場合があります。
そんなときには。ムリに進めるより、いったん休み。
おむつにスムーズにおしっこやうんちができる状態をキープさせてあげることです。
ムリに進めると排泄をガマンする子がいます(特にうんち)。
身体に良くないだけではなく、トイレに誘うタイミングがわからなくなります。
快便状態さえキープしておけば、トイレへの移行が可能になったときにスムーズです。
7.まとめ:トイレトレーニングのやり方
もう一度、排泄自立の定義を書きます。
『①おしっこやうんちを、身体の中に少しの時間ためて ②オムツを外した状態で ③”決まった場所で”排泄する』
③はトイレに限りません。特に家庭用トイレは、幼児にはとても抵抗のある場所です。
そこだけをゴールにすると。難易度がとても高くなってしまいます。
おまるでできた時点でも排泄自立と僕は考えます。
また、家庭のトイレでできなくても。園のトイレなどでできるなら、それも自立と僕は考えます。
おまるや園のトイレなどで排泄できるなら。家庭用トイレへの移行はむずかしくはありません。
あとは、少しの時間の問題だけです。もうりっぱな排泄自立です。
▶トイレを教えない理由