特別支援学級には知的学級や情緒学級がありますが。
その違いは何か?
よくわからない方は多いと思います。
発達相談員で、地域の就学に向けた相談も担当している僕が。
知的学級と情緒学級の違いを解説します。
【僕の簡単なプロフィール】
保育者として20年。その後、地域の発達相談員と幼稚園・保育園巡回の経験が15年ほどあり。
大学院では保育や教育の心理学(学校心理学)を専攻していました。
現在、地域の発達相談・保育園巡回のほか。地域の子の小学校入学に向けた相談(就学相談)も担当しています。元就学指導委員会委員(教育委員会より委嘱)。
所持資格:公認心理師(国家資格)、幼稚園教諭、小学校教諭、特別支援学校教諭など
【注意】
お住いの地域により就学相談の進め方は異なりますので。
必ず、早めにお住いの地域の教育委員会にも確認してください。
1.知的学級と情緒学級の対象
障害の程度
対象となる障害の程度は以下です。
知的障害者 | 知的発達の遅滞があり,他人との意思疎通に軽度の困難があり日常生活を営むのに一部援助が必要で,社会生活への適応が困難である程度のもの |
自閉症・情緒障害者 | 一 自閉症又はそれに類するもので,他人との意思疎通及び対人関係の形成が困難である程度のもの
二 主として心理的な要因による選択性かん黙等があるもので,社会生活への適応が困難である程度のもの |
引用:障害のある児童生徒等に対する早期からの一貫した支援について(文部科学省通知)>>こちら
障害の判断
障害の判断に当たっては,障害のある児童生徒の教育の経験のある教員等による観察・検査,専門医による診断等に基づき教育学,医学,心理学等の観点から総合的かつ慎重に行うこと。
引用:【障害のある児童生徒等に対する早期からの一貫した支援について(通知)】 文部科学省 25文科初第756号平成25年10月4日 >>こちら
つまり。
特別支援学級が対象となる『障害』の判断は、医師の診断だけによるものではなく。
「教育学,医学,心理学等の観点から総合的かつ慎重に行う」ということがポイントであり。
医学的診断がなくても特別支援学級の対象になります。
2.知的学級か情緒学級かの判断の仕方
教育学,医学,心理学等の観点から総合的かつ慎重に所属学級が決まりますが。
「理解が難しく、不安感もある」というように。
知的と情緒の両方の支援が必要な子もいます。
その場合は。
どちらの支援が主になるか、の判断になり。
所属学級が決まります。
ですので。
知的学級に入学しても情緒的な支援は受けられますし。
情緒学級に入学しても知的な支援は受けられます。
3.知的学級と情緒学級の指導のポイント
それぞれの学級での指導のポイントは以下になります。
(実際の指導の仕方は各学級により異なります)
知的学級
・興味関心を取り入れた活動
・生活に結び付く具体的な活動
・学習のやり方や手順などを具体的に提示した分かりやすい活動
・できた、またやりたいという気持ちになれる評価の工夫
情緒学級
・活動の見通しがもてるように、活動内容を事前に知らせる
・学習した内容を実際の場面で具体化し、安心感をもって行動できるようにする
・指示は分かりやすく端的に、視覚的な情報を含め提示する
・自己肯定感がもてる経験や評価の工夫に努める
4.まとめ:特別支援学級の知的学級と情緒学級の違い
特別支援学級は。
知的と情緒的な支援の、量の多さにより所属学級が決まりますが。
どちらの学級に所属しても、その児童に必要な支援は受けられます。
教育相談・就学相談で、相談員に親の意見を詳しく伝え。
相談員とよく相談しながら決めていくことが大切です。
【注意】
お住いの地域により就学相談の進め方は異なりますので。
必ず、早めにお住いの地域の教育委員会にも確認してください。
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