「夜なかなか寝ない」「寝る時間が遅い」。
そのため、「朝起きられず、いつまでも布団でグズグズ」など。
幼児の睡眠で苦労されている方は多く。
僕が毎日行っている発達相談の中でも、多く話題になります。
幼児期の睡眠問題。どうしたらいいのか?
発達相談員の僕が、多くの相談を受けた中で考えをまとめました。
【僕の簡単なプロフィール】
保育者として20年。その後、地域の発達相談員と幼稚園・保育園巡回の経験が15年ほどあり。
発達相談では睡眠に関する相談も多く、書籍・文献での勉強や児童精神科医等との勉強会で考えを整理してきました。
大学院では保育や教育の心理学(学校心理学)を専攻していました。
所持資格:公認心理師(国家資格)、幼稚園教諭、小学校教諭など
記事の内容
1.寝ない子どもにストレス・イライラ【対処方法5選】
対処方法は以下5つです。
①午前中元気なら、睡眠時間はあまり気にしない
②寝始めの90分をぐっすりと
③「早寝」ではなく「早起き」から
④できれば、寝る直前の入浴は避ける
⑤すこし眠くなってから布団に入る
それぞれ解説しますね。
①午前中元気なら、睡眠時間はあまり気にしない
幼稚園・保育園では、午前中に主要な活動が計画されています。
そして、園での活動は「単なる遊び」ではなく。
「子どもの発達に必要な遊び」を見通した保育計画に基づいたものです。
ですので、午前中元気に活動出来ているということは。
発達に必要な経験はできているということです。
睡眠時間は個人差もあり。乳幼児期は寝かしつけが困難な場合もあります。
理想の睡眠時間はありますが。
「大きく睡眠時間が足りていない」「生活に支障がある」という状況でなければ。
あまり睡眠時間にこだわらない方が親子共々ストレスが減るのではないでしょうか。
②寝始めの90分をぐっすりと
『スタンフォード式最高の睡眠(サンマーク出版)』によれば。
人は、「寝始めの90分間」に最も眠りが深くなり、夜間に分泌される成長ホルモンの70~80%が分泌されるとのこと。
西野 精治:スタンフォード式最高の睡眠 サンマーク出版,2018. より引用
ですので。「何時に寝たとしても」「何時間寝たとしても」。
寝始めの90分をぐっすりと熟睡できるようにすることこそが重要とのことです。
寝る時間がどうしても遅くなり、その改善が困難な場合。
「寝始めに熟睡できる環境を整える」(寝始めに起こさない、など)ことに気持ちを向けた方が取り組みやすいかもしれません。
③「早寝」ではなく「早起き」から
遅寝で苦労されているなら。
まずは、5分ずつ起きる時刻を早めにしてはいかがでしょうか。
そして、起きたら朝の光を浴びることで体内時計がリセットされ、夜間に睡眠を促すメラトニンの分泌が促進されます。
普段から実感と思いますが。眠たくないのに、いつもより早く寝るように誘うのは非常に困難ですよね。
さらに、睡眠研究によると。
「通常就寝する時刻の直前から2時間前あたりまで」に、脳が眠りを拒む時間帯(フォビドンゾーン)が存在しているそうです。
ですので睡眠は、「寝る時刻」ではなく。
「起きる時刻」で調整する方が取り組みやすく、身体のリズムにも合っているようです。
「早寝早起き」ではなく、「早起き早寝」です。
④できれば、寝る直前の入浴は避ける
人は深部体温が下がった状態で眠気が強まります。
ですので、入浴直後は体温が上がっている状態で眠りづらいそうです。
入浴で上がった深部体温が、元に戻るまでに要する時間は約90分。
入浴前よりさらに下がっていくのはそれからです。
ですので、可能なら「寝る直前の入浴」は避けることが理想です。
⑤すこし眠くなってから布団に入る
まったく眠くないのに布団に入るのは逆効果な場合があります。
刺激が少ない薄暗い部屋で布団に入ると。
わずかな音・光や、気になっていることに反応しやすくなり。
逆に頭がさえてしまう場合があります。
ですので、すこし眠くなってから布団に入る方がいい場合があります。
ただし、寝る時間が近づいたら、ゲームや刺激の強い遊びなどには触れさせないことは必要であり。
気持ちを落ち着かせ、自然に眠くなるための配慮が大切です。
2.乳幼児期の望ましい睡眠時間
あくまで参考として紹介しますが。
このデータによれば、幼児期の望ましい睡眠時間は10~13時間。
日本でも一般的によく聞く理想の時間だと思います。
繰り返しますが。
睡眠には個人差があるので、とらわれ過ぎず。
親子共にストレスを少なく日々過ごせることが大切だと考えます。
3.まとめ:寝ない子どもにストレス・イライラ【対処方法5選】
幼児期に生活リズムを整えることは重要であり。
「朝7時頃までの起床」や「早寝」は大切と思っています。
ただし、発達相談でお話を聞くな中で。
「親がどんなに努力しても」理想の睡眠にはならない子も多くいることが分かりました。
そして、そういう子でも、問題なく元気に過ごせている子は多いということも分かりました。
ですので。現在、毎日の生活に大きく支障が無いのであれば。
良い睡眠環境を作ることは必要ですが、それにとらわれ過ぎず。
今の状況の中で、できることをしていくことが大切だと考えます。
▶こちらもご覧ください。
【参考文献】
・西野 精治:スタンフォード式最高の睡眠 サンマーク出版,2018.
・西野 精治:スタンフォードの眠れる教室 幻冬舎,2022.
・マシュー・ウォーカー:睡眠こそ最強の解決策である SB Creative.2018.
・ニック・リトルヘイズ:世界最高のスリープコーチが教える究極の睡眠術 ダイヤモンド社,2018.
・ポリー・ムーア:賢い子は一歳までの眠りで決まる 日本文芸社,2017.
・森田 麻里子:医者が教える赤ちゃん快眠メソッド ダイヤモンド社,2020.
・ @koro_asakatsu: 睡眠で人生を好転させたい人へ~医師が教える8つの教え~ 有料noto,2021.