幼稚園や保育園で、ときどき友達のタオルや靴などを隠す子どもがいます。
「人の物を隠す」という行為は、親としては心配ですよね。
本記事では、幼児期の子どもが物を隠すのは、どういう気持ちからなのか。
そして、親は子にどう対応するといいのか。
発達相談員の僕が事例を紹介し、解説します。
【僕の簡単なプロフィール】
保育者として20年。その後、地域の発達相談員と幼稚園・保育園巡回の経験が15年ほどあり。
大学院では保育や教育の心理学(学校心理学)を専攻していました。
所持資格:公認心理師(国家資格)、幼稚園教諭、小学校教諭など
1.物を隠す子どもの心理
結論をいうと。
「満たされない気持ち」があるのだと思います。
僕の保育経験の中で印象的な事例を紹介し。
「満たされない気持ち」について解説します。
(事例は、実際とは一部内容を変えています)
事例
保育園年長組。
個人のお手ふきタオルは、皆と共同のタオル掛けにそれぞれかけています。
ある日から。
いろいろな子のタオルが、日によってかわるがわる見当たらなくなるという事がおこりました。
探すと物かげから出てきます。
担任の先生は変だな、と思っていたある日。
クラスのAちゃんが、ほかの子のタオルを隠しているのを別のクラスの先生が偶然見つけました。
担任の先生が、なぜ隠すのかを聞いてもAちゃんは「ごめんなさい」と言うだけ。
はっきりとした理由は言えません。
でも担任の先生には思い当たることがあります。
それは、Aちゃんは自分のタオル持参をよく忘れてくることでした。
そのことをお母さんに確認すると。
お母さんは仕事が忙しく。
Aちゃんのカバンに、タオルを入れ忘れることが多いことがわかりました。
その後、お母さんは。
忘れずに毎日タオルを持たせることと、Aちゃんへの関りを増やすようにしました。
それ以来、Aちゃんはほかの子のタオルを隠すことはなくなりました。
事例の解説
Aちゃんは、最近お母さんが仕事が忙しく。
お母さんにかまってもらえないことや、タオルを持たせてくれないことに対する、「寂しさや他の子に対するうらやましさ」があったのかもしれません。
自分の気持ちを言葉でうまく表現できない幼児期には。
このような複雑な気持ちを、行動で表現する場合が多くあります。
2.そうせざるを得なかった気持ち
幼児が物を隠す場合。
幼児と大人では、発達的にその心理は違います。
大人の気持ちと同じように考えないことが大切です。
幼児の場合は、ほかの人を「こらしめよう」という気持ちではなく。
「そうせざるを得ない状況」に自分の心が追い詰められていたのかもしれません。
ですので。
隠すことに対する指導は必要ですが。
隠すこと自体を叱って終わりではなく。
「なぜ、隠さざるを得なかったか」の根本原因を探り。
そこを解決していくことが大切です。
3.まとめ:物を隠す子どもの心理
幼稚園や保育園で友達の物を隠すようなことがあると。
親としては、将来的に犯罪などにつながるのではないかと心配になり。
隠す行為自体をきびしく叱りたくなります。
心配な気持ちはとても分かりますし、隠すことの指導は必要ですが。
少し冷静になることが大切です。
幼児期の心理や行動は大人とは違うからです。
「なぜ子どもはそのような行動をせざるを得なかったのか」という視点で見てあげ。
その根本原因を考えて対処することが、問題の本当の解決につながります。
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