「子どもをほめるところがありません」
発達相談の中でもよく聞く言葉です。
これは、親であれば、どなたも同じ思いです。
あなただけではありません。
ですので。「いつも叱ってばかり」と落ち込む必要はありません。
夜、子どもが寝たあと。
「今日は叱ることが少し多くなってしまったな」
「明日はほめてあげよう」と思ったとき。
コツさえわかれば、簡単にほめることはみつかります。
誰でも必ず、すぐにできます。
本記事では。
現役の発達相談員であり、毎日幼稚園・保育園を巡回訪問している僕が。
ペアレントトレーニングを参考にして。
幼児期の子どもの、「ほめるところの見つけ方」を解説します。
【僕の簡単なプロフィール】
保育者として20年。その後、地域の発達相談員と幼稚園・保育園巡回の経験が15年ほどあります。
大学院では保育や教育の心理学(学校心理学)を専攻していました。
ペアレントトレーニングの指導者講習も修了しています。
所持資格:公認心理師(国家資格)、幼稚園教諭、小学校教諭など
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1.子ども(幼児)のほめるところがない【見つけ方】
子どもをほめる「見つけ方」は以下です。
・すでに、できていること
・ほめのハードルをさげること
・少しできたこと
それぞれ解説します。
すでに、できていること
外出から自宅に戻り。
「帽子や上着を所定の場所にかける」「手を洗う」「手をタオルでふく」など。
「今すでにできていること」がありますよね。
その「今すでにできていること」をほめてください。
すでにできていることですから、すぐにほめられますよね。
できていることでも。
ほめられると子ども(幼児)はよろこびます。
「今までできなかった、新しくできたことしかほめてはダメ」
そんな決まりはありません。
ほめのハードルをさげること
「簡単なこと」ができたらほめます。
簡単なこととは、例えば。
「これ、ゴミ箱にすててね」
「ティッシュをとってね」
「スプーンを机においてね」
などです。
簡単なことでもほめてもいいし。
子どもはうれしいものです。
「少しむずかしいことをできたときしかほめてはダメ」
そんな決まりはありません。
少しできたこと
ペアレントトレーニングでは「25%ルール」と言われています。
例えばブロックを片付けるとき。
「全部でなくても、25%(四分の一)片づけた時点でほめる」ということです。
25%にこだわらず。
1%でも、少し片づけられたらどんどんほめてください。
ほめることで、子どもは続けてどんどん片づけようとします。
「全部できないと、ほめてはダメ」
そんな決まりはありません。
2.子どもをほめる【3つの誤解】
子どもをほめるときに3つの誤解があります。
・「今までできなかった新しいことが、できたとき」しかほめてはいけない
・「むずかしいことが、できたとき」しかほめてはいけない
・「全部、できたとき」しかほめてはいけない
これらの誤解は、誰かに言われたわけではなく。
いつのまにか自分で決め、思い込んでいることです。
でも、そんな決まりはどこにもありません。
3.ほめすぎはよくないのか?
「子どもをほめすぎると調子にのる」「ほめられるためだけにやろうとする」。
だから、「ほめすぎるのは良くない」などという意見をたまに聞きます。
本当でしょうか?
僕はそう思いません。
できれば「叱りすぎない方が良い」ことは、しばしば聞きますが。
「ほめすぎない方が良い」という論文や研究結果は見たことがありませんし。
「ほめすぎて子どもがダメになった」という実際の事例も、見たこと・聞いたことは一度もありません。
そもそも、ほめることはむずかしく。
子どもがダメになるほど、ほめ続けられないのではないでしょうか。
特に幼児期の子どもは、「親や先生にほめられたい」と強く思っていて。
気持ちに余裕があり、ほめられるときには。どんどんほめてあげることは大切なことです。
4.まとめ:子ども(幼児)のほめるところがない【みつけ方】
幼児期の子どもをほめる「見つけ方」は以下3つです。
・今できていること
・ほめのハードルをさげること
・少しできたこと
このコツは幼児期~小学校低学年に有効な方法です。
小学校中学年以上になると。
これらのことをほめても、子どもの心にひびかなくなってきます。
ですから、やるなら幼児期の今です。
ほめることはむずかしく。気持ちに余裕がないとできません。
このやり方なら「誰でも、いつでも、どこでも」できます。
今から。できるときには、すかさずほめてみませんか。