『おしっこはトイレでできるけど、うんちはオムツに履き替えてその中で』という場合。
理由は二つと考えます。
①ぶ厚い肌に密着したオムツ以外での排便が不安
②トイレに座って排便での姿勢に慣れていない「時間をかけてあげる」ことをベースにしながら、対応例を下のツリーに。
— ひだ ゆう🍰発達相談員(幼児) (@Zteacher2017) September 23, 2022
『おしっこはトイレでできるけど、うんちはオムツに履き替えてその中で』という場合。
理由は二つと考えます。
①ぶ厚い肌に密着したオムツ以外での排便が不安
②トイレに座って排便での姿勢に慣れていない
おしっこはトイレでできるようになり、日中は布パンツで過ごせるようになっても。
「うんちのときにはオムツに履き替えてその中で」、という子は少なくありません。
本記事では。
現役の発達相談員で、トイトレの相談を多く受けている僕が。
なぜ、うんちはオムツでしたがるのか?の理由と。
その後の進め方を解説します。
【僕の簡単なプロフィール】
保育者として20年。その後、地域の発達相談員と幼稚園・保育園巡回の経験が15年ほどあり。
大学院では保育や教育の心理学(学校心理学)を専攻していました。
トイレトレーニングに関する相談は最も多く受け、日々試行錯誤した結果の有効な方法を解説します。
所持資格:公認心理師(国家資格)、幼稚園教諭、小学校教諭など
記事の内容
1.「うんちはオムツ」の理由
おもな理由は二点です。
①「ぶ厚い」「肌に密着した」オムツ以外での排便が不安
②トイレに座った排便の姿勢に慣れていない
それぞれ解説します。
①「ぶ厚い」「肌に密着した」オムツ以外での排便が不安
おしっこも同じですが。
子どもは生後からずっと、オムツをつけた状態で排便しています。
オムツのゴワゴワとした「ぶ厚い」「肌に密着した」中で排便することに慣れきっていて。
その状態からオムツを外すと、とても不安になります。
おしっこはオムツを外した状態でできていても。おしっことうんちは別です。
おしっことうんちは身体から出てくるところが違い。その感覚もまったく違います。
うんちの方が不安が大きいのです。
なので。
その不安から自分を守るため、子どもはオムツが必要なのです。
②トイレに座った排便の姿勢に慣れていない
オムツで排便する場合。
立ってする子が多いですが、しゃがんでする場合でも。
トイレの便座に座って排便する『姿勢』や『いきみ方・ふんばり方』に慣れていません。
だから、うまくできないのです。
おしっことうんちの違い
排尿と排便の大きな違いは、尿はチカラを入れないで自然に出すのが健康な排尿です。排便の場合(下痢の場合は別ですが)、直腸に外圧をかけないと出せません。いきむ呼吸筋と踏ん張る腹筋の外圧です。もう一つの違いは、便は便意がないと出せない点と便意は我慢すると喪失してしまう点が尿意と違います。
うんちの場合、おしっこと違い便座に座って「いきむ・ふんばる」必要があります。
便座に座ってのやり方に慣れなければうまくできません。
2.「うんちはオムツ」の対処方法
①「ぶ厚い」「肌に密着した」オムツ以外での排便が不安
身につけるものを徐々に「薄くし」、「肌との空間を広げ」。
何も身につけない状態に近づけます。
『徐々に』進めることで不安を少なくします。
<事例>
・始めに、いつも使っているものと別メーカーのオムツで排便に誘います。
(子どもは変化に敏感です。これがムリなら次には進まず、できるまで時間をかけます)
・今まで使っていた物より薄いオムツかトレーニングパンツ
↓
・布パンツにおしっこパッドをつけ厚みをもたせたもの
↓
・布パンツを数枚重ねたもの
↓
・布パンツの重ねを減らしていきます
↓
・布パンツ一枚
↓
・トイレットペーパーで、お相撲さんのまわし(ふんどし)のようにし排便後トイレに流します
このような感じで身につける物を徐々に薄くしていきます。
排便場所はどこでもいいですが、可能ならトイレに誘い便座に座らせます。
②トイレに座った排便の姿勢に慣れていない
オムツをはいたまま便座に座らせる
オムツをはいたまま便座に座らせ、そこでうんちをさせ。
便座に座った姿勢での排便に慣れさせます。
可能なら、①のやり方でオムツを徐々に薄くしていきます。
嫌がるようであればムリはさせません。
前傾姿勢(まえかがみ)がうんちが出やすい理想的な姿勢です
おしっこのときにも、常に前傾姿勢をとるようにしておき。
便座に座ったら、自然にその姿勢になるようにします。
子どもの足もとの床に好きなキャラクターのポスターを貼ったり、自分の足を見させたりすると前傾姿勢が作れます。
ポスターがやぶれやすいときには。
100均の透明クリアファイルに入れると大丈夫です。
うんちには前傾姿勢が良い理由
排便の姿勢は、背筋を伸ばして前傾姿勢(前かがみ)とするのが理想的です。そうすると直腸と肛門がまっすぐとなって、ふんばった力が肛門に伝わりやすくなり、肛門も緩みます。
また、子供や背の低い方で、排便の際に足が下につかずにブラブラしているのも力が伝わりにくくなります。足元に台を置いて膝を少し上げることにより背筋が伸び、力が伝わりやすくなります。
さらに、子どもの身体の大きさに合ったクッションを抱かせてあげると。
前傾姿勢が安定し、ふんばりやすくなるかもしれません。
3.「うんちはオムツ」のそのほかの理由
・うんちが体から出てくるのが怖い
・うんちがトイレに流れていくの怖い
・流す水の音が怖い
・うんちが便器に落ちた音がイヤ
・白い便器が汚れるのがイヤ
・うんちが便器に落ちて水が跳ね返るのがイヤ
4.注意点
うんちのトイレトレーニングを進めるとき。
ムリに進めると子どもは排便をガマンし、便秘状態になる場合があります。
健康にも良くないので注意が必要です。
トイレトレーニングを進めるのがむずかしそうなら。
ムリに進めるより前の段階に戻ったり、オムツに戻したりし。
スムーズに排便できていた方がいいです。
その方が時期をみて次の段階に進めやすいです。
『あせらず、時間をかけて、徐々に、ムリならもどす』です。
5.まとめ:「うんちはオムツ」の理由と対処方法
①「ぶ厚い」「肌に密着した」オムツ以外での排便が不安
②トイレに座った排便の姿勢に慣れていない
この二つを解消すると。
子どものうんちの不安が減り、トイレ排便が可能になります。
本記事で紹介したやり方以外でも、この二つの不安解消を考えてあげて。
ご家庭にあったやり方で時間をかけながらの試行錯誤をしてみてください。
おしっこの自立ができているなら、うんちも必ずできます。
あともう少しです。